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最初期ハインリッヒディンケラッカー対応SIZE;ジョンロブ8695 7.5-8,オールデン990 8-8.5,エドワードグリーン202 8-8.5,パラブーツ7.5-8

拍賣 時尚流行 男鞋 其他

商品説明

[ 翻譯 ]


今回の終了日時は、日曜日ではなく、9月24日(月曜日)となります。ご注意ください。



タイトル中参考サイズとして、定番モデルやラストから、この出品靴のサイズ感に近いものを挙げています。

あくまでも参考になりますので、詳細につきましてはご質問頂けますと幸いです。

なお、健康上の理由やコレクション目的等で、幅広いサイズの靴を所有しておりますので、その他の出品も是非ご覧ください。




―― コレクションを手放し、思想を残す。



わたしは、著作家・元スタイリストの革靴収集家でございます。


約50年世界を巡り、ストックは1,200足。


世界最高峰の靴職人たちの技術・情熱が、何十年もかけて結晶した我がコレクション。


これを残したまま、この世を去るわけにはいかない。


朽ちさせるわけにはいかない。


そして私は、そこにコレクターとして関わってきた人間として、"結晶" への想いを残さねばならない。



『コレクションを手放し、思想を残す。』


これが私の"終活"。


お付き合い頂けますと幸いです。


なお、現在日本で買えない靴(特にオーダー、ビスポーク、ヴィンテージ)を中心に出品致します。


皆様と同じ立場、履き手の立場の人間だからこそ出来ることを精一杯やりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。










































初期(旧ロゴ)ハインリッヒディンケラッカー


網状層プレメンテナンスを施し、プレメンテナンスの過程で2回程度、晴れた日の綺麗な路面で着用致しました。


ソールが汚れているようにも見えますが、メンテナンスを施したためです。


ソールも強度を上げておりますので、安心して履いて頂けます。





ファントウムを継承したディンケラッカーの第一期作。



旧ディンケラッカーの末期にあって、新ブランド設立にかける彼らの情熱と技術を注ぎ切った作として東欧靴界に提示され、東欧の有形価値愛好家を一気に虜にした最後期ファントウム。

(詳細はファントウムのページをご覧ください)


最後期ファントウムでは、ハンドソーンの軍用靴生産で腕を上げた職人によって、タフネス・コンフォートの高級靴昇華に成功した。


それを継承する形で、ディンケラッカー設立時の第一期に工房に並んだ一作がこちらの出品靴である。



これによって、まさにディンケラッカーは東欧を中心とし、西欧まで巻き込む "渦" を創造した。


ディンケラッカーのブランド設立期は、プラダのチャーチ買収の時期と近い。


そのために、無形価値財に舵を切った西欧靴に絶望した西の有形価値愛好家も、東欧靴に注目していた。


そこに提示されたファントウムを引き継ぐ第一期コレクション。


ディンケラッカー自身は、このコレクションも『コンフォートシューズ』と言い続けたが、これを見た東西の有形価値愛好家がロールスロイスだと騒ぎだした。


まさに、ロールスロイスのファントムをそこに見たのだろう。


ファントウム、そしてこの第一期コレクションによって、ディンケラッカーは有形価値創造者として名をはせることとなった。


転換期の西欧靴界にも衝撃を与えた点で靴界の歴史に残る作品と言える。





『網状層プレメンテナンスを施した旧/初期ディンケラッカーが創造する "渦"』(第1回)



真に良いもの、良い情報、良い技術は、いつも、"渦" から生まれる。

すなわち、本質を考える者が何かを提示し、それを本質を考えるものが愛でて、それでまた良いものが生まれ、という具合にだ。


私がここで提示するメンテナンス手法は、日本の靴界の常識を破壊するものである。

だが、それはまた創造を意味し、"渦" の始まりとなり得る。


かつてディンケラッカーは、有形価値創造力でもって、東欧から西欧へ新たな "渦" を創造した。

私の提示するメンテナンス手法は有形価値創造行為であるが、それと圧倒的有形価値を誇る旧/初期ディンケラッカーが重なった時、"渦" となる。

ごく小さいが、しかし強い "渦" だ。


それをいま、日本の有形価値愛好家の皆様におくりたい。

この "渦" は、いつか巨大で力強いものとなる。



なお、このコラムにおいて出品する靴は4点あるが、前半・後半で分割し、二週に渡って出品する。





東欧靴哲学によるワードローブの創造的破壊。



● かつての私のような靴好きを増やさないために。



かつての私は、英国の注文靴店でビスポークを繰り返し、それらと60年代70年代の全盛期アメリカ靴でワードローブを固め、もう革靴には求めるものがないとさえ思っていた。


職人の父親から知識やコレクションを受け継ぎ、自分自身も企画・製作を行っていたため、知識や技術の面でも、新たに取得するものはないと思っていた。


だが、80年代に東欧のコアな靴界に足を踏み入れ、自分が触れてこなかった作品があること、自分に欠けた知識や技術があることを悟った。



その欠損は、先にあった "到達" のイメージと満足感が大きかったからこそ、一層大きく感じられた。


またゼロからのスタートが始まる感覚を覚えた。


いや、最良ではないものに莫大な資金や時間を費やしてきたことを考慮すると、マイナスからのスタートと言った方が良いのかもしれない。


これまで取り揃えてきたコレクションや知識、技術が全て無になった。



幻想がむくむくと巨大に育ったあとで、それが打ち砕かれたときの虚無はとてつもないものだ。


それ故に、幻想は直ちに破壊された方が良い。


以上のような経験と実感から、例えば今回の新コラム『有形価値愛好家がマクロ創造する東欧世界から』のように、誰かが "物申すこと" が必要だと私は考えています。


それによって、人々が早い段階で軌道修正する必要がある。



しかし、例えばファッション誌や、セレクトショップは、あらゆる方向で複数のメーカーが取引先になるため、何かを批判することが難しく、そのために、アパレルにせよ革靴にせよファッション界では物申す人間が現れず、幻想を育ててしまう消費者が多くなるものです。


例えばそれは、世界には、より高品質な製品、より有益な情報、より優れた技術があるのに、大勢の人が欲しがっているものがベストだという幻想であり、大勢の人が信じているものに間違いがないという幻想です。



この先で述べることは、日本の靴界の常識を覆すものであり、そのためにあなた様が抱いている幻想が破壊されるかもしれない。


しかし、莫大な資金や時間を投じてしまう前に、軌道修正したほうが良いのです。


幻想は直ちに破壊された方が良いのです。


かつての私のような靴好きを増やさないために。





● 【英国靴哲学/東欧靴哲学】【三者分離志向/三位一体志向】



80年代の英国注文靴が作る作品は、現代の無形価値財的な英国靴と一線を画し、圧倒的に有形価値が高いものだった。


新コラム『有形価値愛好家がマクロ創造する東欧世界から』において、東欧の靴好きは売り場に溢れる有形価値財から審美眼を養うと述べたが、それと同じように、私も英国注文靴から審美眼を養ったものだ。


80年代の英国注文靴も、東欧靴も、ともに有形価値が高い点では共通するのだが、その元にある靴哲学は大きく異なっている。



英国において最高級靴とされる革靴は、カーペットの上しか歩かないような貴族が愛用していた靴を源流とする。


すなわち、元来的には、英国における高級革靴は『ドレスシューズ』であり、タフネスを求めるものではない。


そのかわり、カントリーシューズは労働靴を源流とするが、それにタフネスやコンフォートが求められた。


50年代60年代のアメリカ靴に対抗する形で、英国からもタフネス・コンフォートを追求した高級革靴が生まれたが、これは『ドレスシューズ』にカントリーシューズの仕様を組み入れたものだ。


しかし、そういった靴は英国靴界の最高級品とはならず、注文靴店が作るドレス分野に傾斜した革靴が最高級品であり続けた。


現代でもその流れを汲んでいるため、基本的には、英国の高級革靴はドレス用、すなわち装飾品である。



一方、東欧において最高級靴とされる革靴は、大戦前からハンドソーンで生産されていた軍用靴を源流とする。


当然、軍用靴にはタフネスとコンフォートが求められる。


東欧では、貴族が履く靴もハンドソーンの軍用靴生産で腕を上げた職人達が請け負ったため、タフネスとコンフォートを追及した革靴にドレスのテイストを加えブラッシュアップすることで、東欧の最高級靴が成立した。


つまり、英国におけるドレスシューズとカントリーシューズのように、目的によって(ドレスを求めるか、タフネス・コンフォートを求めるかによって)別個に革靴が成立することがなかった。


よって、東欧の高級革靴は、ドレス、タフネス、コンフォートの目的を三位一体に実現させたものである。



また、70年代からじわじわと始まり、90年代に全盛期を迎えた先進国でのスニーカーブームによって、英国靴界には、スニーカーにコンフォートを求める文化が定着した。


『たくさん歩くなら、スニーカーを履けば良い』という具合にだ。


その結果、革靴にドレスを求め、ブーツやカントリーシューズにタフネスを求め、スニーカーにコンフォートを求める三者分離の靴観が出来上がった。


アメリカ靴の衰退以降、西欧・アメリカ・日本では英国靴が支配的となり、それに伴って、以上のような英国の靴観(三者分離の靴観)も支配的になった。


つまり、英国(東欧外)の靴哲学は三者分離志向であり革靴にはドレスの役割が求められ、東欧の靴哲学は三位一体志向である。





● ワードローブの創造的破壊。



高級革靴の目的をドレスに傾斜させる英国の靴哲学と、目的を三位一体に実現させようとする東欧の靴哲学。


これらの靴哲学から、どのように履くべきか、いかなるケアを施すべきか、どう選ぶべきか、といった諸々の個別具体的な方法論が導かれる。


つまり、靴哲学の幹から、靴の履き方・育て方・選び方の枝が伸びるのだ。


したがって、英国注文靴に学んだ私の履き方・育て方・選び方と、東欧靴に学んだ東欧の職人やコレクターの履き方・育て方・選び方とは、大きく異なった。


80年代に、それまでの私が知らなかった彼らの "枝" を見ることで、私の幻想が破壊された。


東欧靴、東欧靴哲学、東欧靴界に出会う以前、英国靴界から学ぶ事によって取り揃えたもの・知識・技術が突如瓦解したのである。



現代日本では、高級靴界を、英国靴が牛耳っている。

オールデンも人気だが、これは、アメリカ靴ではなく、コードバンないしオールデンが人気なのだと考えるべきである。


よって、主に英国靴を見ている現代の日本の靴好きも、東欧の職人やコレクターとは大きく異なる枝を身に着けていることだろう。


これまで知らなかった枝を見ることで、かつての私と同じように、幻想が破壊される。



われわれはカーペットの上しか歩かない貴族ではなく、われわれの靴にはドレスもタフネスもコンフォートも求められる。


われわれは、それが真に良い靴であればあるほど、それを履いて出掛けたくなるものだ。


すると、英国靴哲学よりも東欧靴哲学のほうが受け入れやすく、幹を変えるべきで、それに合わせて枝も変えるべきだ。


つまり、ワードローブを入れ替える必要が生まれ、ケアの方法や、フィッティングの方法を変える必要も生まれる。


いまあるものを破壊することによって一時的には虚無感を覚えるかもしれませんが、それは、あなた様にとってより良いワードローブが実現するためには絶対に必要なプロセスです。



悪天候時や長時間歩く場面等、靴にストレスがかかりそうなシチュエーションでは、履き古した靴や初期に買った『どこか納得できない靴』を選んでしまう靴好きが多い。


靴へのストレスを気にするあまり、気合いを入れて買った一番手の靴を『ワードローブの置物』にしてしまう靴好きも多い。


幸せになるために、靴を買ったりケアしているのに、幸せになれていないどころか、むしろ不幸になっている靴好きがあまりに多いのだ。


また、世の中にはもっと良い靴があるはずだ、もっと良い知識があるはずだ、もっと良い技術があるはずだ、と信じながらいわば妥協する形で、広く出回っているもの・知識・技術を甘んじて受け入れている方もいらっしゃることでしょう。


そういった方々こそ、一時的な虚無感を恐れず、幹を英国靴哲学とする "木" を破壊して、幹を東欧靴哲学とする新たな "木" を創造すべきだ。





網状層メンテナンス・イノベーション



● 第一に注目すべき枝



東欧靴哲学の幹から伸びる数々の枝のうちで、第一に注目すべきは、メンテナンス手法である。


現在日本で受け入れられているメンテナンス手法は、日本で支配的な英国靴哲学の幹から派生したものだ。


すなわち、英国靴哲学においては、高級革靴は主にドレスを求められカーペットしか歩かない貴族の靴を源流として想定するが、その靴哲学から生まれたメンテナンスの方法論をベースにして、今日の日本におけるメンテナンスの方法論がある。


それ故に東欧のコアな靴界のメンテナンス手法と、日本で広く定着しているメンテンナンス手法は大きく異なり、前者を新たに採用した場合のQOW(quality of wardrobe)上昇率は極端に大きいため、第一に注目すべき枝と言える。





● 革の構造



家が構築物とその下層にある基礎・地盤から成るように、革にも下層がある。


革の組織は、乳頭層と網状層であるが、タンナーにおける鞣しの後工程では、乳頭層の上に仕上げ剤の膜が張られる。


つまり、完成時においては、外側から、膜層・乳頭層・網上層の三層構造となる。


さらにその後、消費者や流通業者の側で、クリームやワックスを塗布すれば四層構造が出来上がる。


この四層の中で、革の特性を決定する要素となり、ひいては革靴のタフネスやコンフォートを決定する要素になるのは、最下層の網状層だ。



網状層は、タンパクとコラーゲンの繊維であり、それらの繊維が絡み合った構造をしている。


鞣しの前工程においては、このタンパク・コラーゲンとクロムやタンニンを反応させて繊維を安定化させた後、油分と水分を注入し、繊維同士がうまく滑りあうようにする。


この繊維同士の潤滑性が、革の弾性/塑性を決定づけ、ひいては革靴の履き心地を検定するのだ。


また潤滑性が不十分であれば、繊維同士が摩擦によって切れ、そこから不純物が侵入して、さらに潤滑性を失ってという具合に、悪循環にダメージが広がり、最終的には革表面にクラックができる。


つまり、繊維同士の潤滑性は、革の耐久性も決定づけ、ひいては革靴のタフネスも決定するのだ。


要するに、最下層である網状層内部のタンパク・コラーゲン繊維の潤滑性が、革のタフネスもコンフォートをも決定する。


また、その潤滑性は、油分と水分の適切な含有によって保たれる。


如何に頑丈で美しく見える高級住宅でも基礎・地盤が脆弱であれば簡単に朽ちるように、革も網状層が脆弱ならば簡単に朽ちる。





● 英国靴哲学から導かれるメンテナンス手法



革靴を屋外で着用すると、肉眼では見えないレベルの外傷、紫外線による膜層や乳頭層の剥がれができ、そこから不純物が侵入して網状層の繊維同士の潤滑性が落ちる。


結果的に靴のコンフォートやタフネスが損なわれる。


だが、室内で着用することを想定するならば、外傷・剥がれを起因とした不純物混入による潤滑性の低下をさほど気にする必要がない。


それに、そもそも室内で着用するならば、長時間歩くためのコンフォートやタフネスは求められない。



つまり、英国靴哲学が源流として想定する革靴(カーペットしか歩かない貴族のための靴)をメンテナンスする場合、革の下層である網状層の状態を考慮する事は、さほど重要ではなかった。


それよりも、社交場で装飾品として活躍させるために、最外層を考慮する事の方が重要だった。


すなわち、革表面をいかになめらかにして、光をいかに綺麗に反射させるのかということが、最も重要だった。



高級靴を履く貴族は当然使用人を抱え、革靴のメンテナンスも彼らに任せたが、メンテナンスは着用したまま実践されることが多かった。


その様式において、使用人は如何に手早く革を光らせるかが求められ、また一種の娯楽として如何に貴族を喜ばせるような手つきを見せるかが求められた。


そのための用品として今日売られている靴クリームやワックス、ブラシのようなものが誕生した。


科学の進歩でそれらの用品は改良されたものの、その使用方法等のメンテナンス様式は、貴族の靴を使用人がメンテンナンスしていた時代のものをそのまま維持している。



以上のような英国靴哲学から派生して成立したメンテナンスを、後述する網状層メンテナンスと区別して、膜層メンテナンスと呼ぶ。


乳頭層の外側に張られた膜層を滑らかにして光らせるという意味で、膜層をメンテナンスしていることになる。


詳細は後述するが、日本の靴好きが行っているメンテナンスの99.9%は膜層メンテナンスであり、日本に存在する靴の99.9%は乾ききっている。





● 東欧靴哲学から導かれるメンテナンス手法



前述の通り、東欧における高級革靴は、ハンドソーンの軍用靴を源流とする。


軍用靴にはタフネスとコンフォートが優先的に求められるのは言うまでもないが、そのためのメンテンナンス方法が、後に成立した東欧貴族のための高級革靴のメンテナンスにも流用された。


すなわち、タフネスとコンフォートを維持するための、網状層内部の繊維の潤滑性を維持するメンテナンスである。



屋外で革靴を着用すれば、この潤滑性は失われる一方だが、潤滑性を失う要因は、下記のものである。


① 時間の経過による、膜層と乳化層を通過しての、水分・油分の抜け。

② ナノレベルの外傷部分、紫外線の照射による膜層と乳化層の剥がれ部分からの不純物混入。

③ その不純物混入で、水分・油分が押し出されること。


また、外傷・剥がれは、①の水分・油分の抜けを促進する。


これらの要因への対処は次のものだ。


① 定期的に、網状層に、水分・油分を再注入すること。

② 乳頭層を保護すべく、膜を張りなおすこと。


この第二の対処は、網状層に対する、いわば予防治療にあたる。


すなわち、タンナーにおける網状層繊維内部への水分・油分注入と、網状層への予防治療的な膜張りの2つの技術を、メンテナンスとして繰り返す必要がある。


このメンテナンスを網状層メンテナンスと呼ぶことにする。



一方で、東欧貴族が履く高級革靴においては、タフネス・コンフォートだけでなく、ドレスの役割も求められる。


すなわち、社交場で装飾品として活躍させる必要もある。


その方法は、英国において使用人が貴族に対して行った、膜層メンテンス手法とほぼ同じである。


つまり、東欧高級靴界においては、タフネス・コンフォートを求める網状層メンテナンスと、ドレスを求める膜層メンテナンスの両方が別個に存在することになった。


三位一体の靴哲学故に、メンテナンス手法は分離したのである。






● 網状層メンテナンスの具体的な内容



前節で紹介した【要因への対処】を具体化する形で説明する。


後述するが、網状層メンテナンスとは、つまるところ革が靴の形になった後で再度鞣しを行う事である。(再鞣しのプロセス)



① 定期的に、網状層に、水分・油分を再注入すること。


理想的な網状層には、油脂10パーセント前後、水分15パーセント前後が含まれる。


まず、革の種類、革の状態(※1)に応じて、いかなる調合でどのオイル(※2)をどれだけ塗布すれば、油脂10パーセント前後を維持できるのか見極める必要がある。

(※1)ここでの革の種類とは、ロブシティに使われているカーフか、モールトンに使われているカーフかといった大雑把な分類ではありません。個体差も加味して、非常に細かく革の種類を考える。

(※2)例えば、ホホバオイル、ミンクオイルなどの各オイルは、種々の飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の構成比率によって分類でき、その構成比率がオイルの効能を決定する。




また、水分というのは、保湿効果のある物質がなければ抜けるものだから、水分維持のために、網状層内部にプロテオグリカン、ヒアルロン酸等を留まらせておかなければならない。


水と同時に保湿成分を塗布するのだが、この際には、油分塗布時と同じく革の種類・状態を見極める必要がある。



② 乳頭層を保護すべく、膜を張りなおすこと。


タンナーにおいて、乳頭層の上に張られる膜は、シリコンやフッ素、ロウなどである。


この膜というのは、潤滑性を失う要因として述べた通り、ナノレベルの外傷、紫外線の照射で剥がれる。


定期的にその剥がれを補修することで、乳頭層を保護し、ひいては網状層を保護することになる。


これをすることで、網状層に不純物が入りにくくなり、網状層内部の水分・油分が抜けにくくなる。


また、稀なケースだが、①の水分・油分の注入効率を上げるため、膜層を一旦剥がしてからオイルや保湿剤を塗布することが必要になりうる。


その場合には、再度、膜層を作ることになる。



網状層メンテンナンスの肝は、革の種類・状態を適切に見極めて、それに応じたオイル・保湿剤の種類・分量を見極めることにある。


それは、ある用品やあるメンテナンス方法を、最大公約数的に決定しようとする発想(このクリームが良い悪いとか、この磨き方が良い悪いとか、そういった具合にメンテナンス方法を決定しようとする発想)とは相容れないもので、常に個別具体的に状況判断する必要がある。


もちろん、職人やコレクターが化学を本格的に専攻しているわけでもないし、革内部の状態を詳しく測定することはできず、その個別具体的な判断は、経験とセンスによって獲得する技術である。


しかも、網状層メンテナンスは、例えば街角の数十分の時間で実践できるものではない。


工房において、職人が汗水を垂らし作業服を汚しながら何時間もかけて革靴を作るのと同様にして、実践されるものだ。


少なくとも、一足当たり3時間は掛かるものだ。





● 現代の東欧外で広く行われているメンテナンス



靴のメンテナンスを女性の化粧で喩えよう。


膜層メンテナンスは、メイクアップ化粧、すなわち今日のパーティで綺麗でいるための化粧だ。


網状層メンテナンスは、基礎化粧、すなわち10年後も20年後も綺麗でいるための化粧だ。


化粧品業界では、メイクアップ・基礎化粧、それぞれのカテゴリーで商品を富ませている。


だが、忙しい女性に向けては、例えばBBクリームのように、メイクアップと基礎化粧が同時に行えるオールインワン化粧品も存在する。



英国靴界においては、使用人の目的(手早く光らせること、一種の娯楽として貴族を楽しませること)を達成するためのメンテナンス用品とメンテナンス様式が最初に確立した。


その後、一般消費者も高級革靴を履く時代になり、それに応じて革靴にはタフネス・コンフォートも求められるようになったが、英国靴哲学の三者分離の靴観(ドレス傾斜の革靴観)は根強い。


こういった消費事情の変化は、靴哲学の根幹を揺るがすほどの力はなく、したがって "枝" としてのメンテナンスの在り方も本質的には変わらなかった。


つまり、この変化には、タフネス・コンフォートを得る目的で、新たに別のメンテナンス様式を確立されるほどの力はなかった。


そのため、使用人が採用したメンテナンス様式を維持したまま、タフネス・コンフォートを得るべく、この様式の中で、使われる用品だけが改良されるという方向へ進みだした。


靴を脱いで自分でケアすることが一般的になったものの、汚れを落として、クリームを塗って、ブラッシングするという使用人が採用した様式が現代でも維持されている。

これは、東欧の網状層メンテナンスの様式(革の状態・種類を見極めながらオイル・保湿剤を調合して、観察と実践を繰り返す様式)とは大きく異なる。

前者の使用人様式であれば、街角の数十分の時間でも行えるものだが、後者の東欧の網状層メンテナンスの様式は、前述のとおり、革靴作りと同じく、工房で汗水を垂らしながら行うことになる。



言い換えると、東欧のように膜層メンテナンスと網状層メンテナンスの分離方式が確立することなく、膜層メンテナンスのみの単一方式が維持されたまま、膜層メンテナンスで使われる用品の改良という方向へ進みだした。


そして、メイクアップを行いながらも、若干の基礎化粧も行えると謳ったBBクリーム発想のメンテンナンス用品が誕生したのである。


その用品とは、具体的には一般的な乳化性クリームなどを指す。


したがって、乳化性クリームを塗って、ワックスを乗せるという流れは、BBクリームを塗ってからチークを塗っているようなイメージになる。


これが西欧・アメリカ・日本にも定着し、今日のシューケア業界が成立している。



なお、東欧のように網状層メンテナンスが分離的に成立しないのは、靴哲学から説明できる理由だけでなく、営利上の理由もある。


網状層メンテナンスの実践後には一時的に艶がなくなるため、どうしても "華" がなく、網状層メンテナンスを目的とする用品やサービスは(手際よく光らせないと使用人が貴族の心を掴めないように)消費者の心を掴めない。


また、網状層メンテナンスは長時間の作業が必要で、料金が高額になることからも、需要は伸びにくい。


以上二点から、ビジネスとして成立しづらい。



何れにせよ、東欧外におけるメンテナンスは全て膜層メンテナンスの範疇にあり、従って、売られているクリーム等の用品もすべて使用人様式の膜層メンテナンスのなかで使われるためのものである。


例えばデリーケートクリームは、BBクリーム発想の用品としては保湿効果は高いものの、それでもやはり膜層メンテナンスのためのものである。


BBクリーム発想の用品による網状層への効果というのは、東欧型で別個に網状層メンテナンスを実践したときの効果に比べると極僅かで、相対的には効果ゼロと言って良い。


そもそも、光るようになったということは、何かを表面に乗せているということであり、最下層へ成分を浸透させることと両立しない。





【補足】『市販のクリームは良くない』を考える。



日本の靴磨き店などでは『市販のクリームは革の保護の観点から良くない』と言われるそうです。

たしかに、クリームによって成分は違うから、一理あるのかもしれません。

しかし、それは東欧型のメンテナンス様式(網状層メンテナンスを別個に行う様式)を採用するならば無視できるほどごくごく僅かな違いです。


つまり、膜層メンテナンスと別個に網状層メンテナンスを行い、後者でしっかりと革内部の健康を保っていれば、外層部分に何を塗布しても問題ありません。

ワックスを乗せてもいいし、お気に入りのクリームを好きなように塗っていいのです。

ただし、余程革に悪いことをしない限り(顔料を塗りたくるとか、強い有機溶剤を使うとかをしない限り)です。

基礎化粧をしっかりしていれば、多少は厚化粧してもいいですよね。

ただ、個人的な話として、私はワックスは使いません。


反対に英国型のメンテナンス様式を採用して、膜層メンテナンスしか行わないならば、クリームは厳選すべきですし、ワックスは乗せないほうが良いと思われます。

ワックスを載せると、ただでさえ浸透しないクリーム成分が一層浸透しにくくなりますし、ワックスを剥がすときに乳頭層まで剥がれ(ナノレベルで剥がれます)さらに網状層の乾きが促進します。

基礎化粧をBBクリームだけで済ませるならば、それ以上メイクはしない方が良いですし、BBクリームも厳選して選ぶ必要がありますね。


すなわち、膜層メンテナンスだけを行うことを前提にするならば、『市販のクリームは良くない』可能性もあります。

それでも、個別具体的に判断すべきで、革の種類・状態で変わります。

そして、膜層メンテナンス・網状層メンテナンスを別個に行うことを前提にするならば、クリームの違いは無視できるほど小さくなるので、『市販のクリームは良くない』か否かを考える必要すらありません。






● 日本の靴界に求められる、メンテナンス・イノベーション。



膜層メンテナンスにおいては、日本の靴界が世界一と言っていい。


現在では、業者だけでなく一般消費者まで巻き込んで、シューシャインブームが訪れている。


そこにかける日本の靴好きの熱意は素晴らしく、技術に関しても実にハイレベルだ。



しかし、この膜層レベルでの盛り上がりは、あなた様のコレクションにとって非常に危険である。


シューシャインないし靴磨きは、いかなるものであっても膜層メンテナンスの範疇にあるが、膜層メンテナンスに集中するあまり、網状層への気遣いが一層影に追いやられる。


表向きは頑丈な高級マンションの中身が実はスカスカということもあり得るように、表面が綺麗に見えるからと言って、革内部が健康とは一切言えない。


むしろ、表面が綺麗であるから中身も健康だと考え、思考停止しているうちに、内部でのダメージが進行し続けて、ある日突如クラックが入るということは往々にしてある。


日本で有名なシューシャイナーがグリーン製マスターロイドにクラックを入れて、私のもとへ相談に来たこともあります。



もちろん、日本で広く行われているシューケアにおいても、装飾(ドレス)の目的だけでなく、革の状態保護(タフネス・コンフォート)という機能の目的も謳われている。


しかし、その機能への効果は、網状層メンテナンスを別個に行うことに比べれば極僅かで、相対的にはゼロになる。



現代では、鞣しに十分な時間をかけていない高級靴ばかりになった。


それに加えて、網状層への意識がどんどん影に追いやられている。


この2つの要因によって、欠陥高級マンションならぬ "欠陥高級靴" が今後は一層増えるだろう。



だからいま、日本の靴界は、膜層メンテナンス一辺倒の在り方を破壊し、新たに東欧型の膜層メンテナンス・網状層メンテナンスの別個確立を創造すべきである。


網状層メンテナンスをしっかり行うことで、外層部分で "遊ぶ" こともできる。


内部の健康がしっかりと維持されているなら、あとは好きなように光らせていい。


すなわち、メンテナンス様式の別個確立によって、日本の膜層メンテナンス技術は一層その価値を増すのである。


だからこそ、いまある常識を破壊して、別個確立のメンテナンス様式を創造すべきだ。


美容院とエステサロンがあるように、膜層メンテナンスを行っている既存のシューシャイン店に加えて、網状層メンテナンスを行う工房が新たに生まれることが理想である。


美容師とエステティシャンがいるように、膜層メンテナンスを行うシューシャイナー、網状層メンテナンスを行う職人がいるのが理想である。





真のプレメンテナンスを再定義する。



前回のコラム『真のプレメンテナンスを施された有形価値剤コレクション』においては、革靴への影響の非対称性と、それを考慮したプレメンテナンスの重要性、そして、プレメンテナンスの具体的な内容について述べている。


革の構造の詳細、網上層メンテナンスの詳細を述べた今、上記の内容を再度議論し直す。



● 革靴への影響の非対称性



全く同じ物理的化学的作用(体重の負荷・不純物の混入・紫外線の照射など)でも、屋外で一度も履いた事がない状態と、履きこんだ後の状態で、革への影響は大きく異なる。


すなわち、履きこみが浅ければ浅い程、物理的化学的作用による、マイナスの影響を受けやすい。


また、全く同じ栄養分(油分・保湿成分・色彩変化の目的で注入する油脂)でも、屋外で一度も履いた事がない状態と、履きこんだ後の状態で、革への影響は大きく異なる。


すなわち、履きこみが浅ければ浅い程、栄養分による、プラスの影響を受けやすい。



なぜこのように、影響の非対称性があるのか。


第一に、履きこみが浅ければ浅い程、網状層内部の繊維の絡み合いが均一である。


物理的負荷をかけるほど、繊維が詰まる箇所が出来、不均一になるというわけだ。


第二に、履きこみが浅ければ浅い程、網状層内部には不純物が少ない。


繊維が均一で、余分なものが入っていなければ、そこへ新たに不純物が侵入したり、栄養分が浸透したりするのが容易と言うわけである。



幼少期は何事からも影響を受けやすく、良いものからはより良い影響を受け、悪いものからはより悪い影響を受けるのと同じだ。


未発達の臓器への一杯のラーメンと、大人の臓器への一杯のラーメンでは、その影響の大きさが異なる。


経験の浅い人間に対する一冊の良書と、老人への一冊の良書では、その影響の大きさが異なる。





● それを考慮したプレメンテナンスの重要性



以上を念頭に置くと、履き下ろし前には何をすべきか。


初期の物理的化学的作用から受ける影響は大きいため、予めそれに備えておく必要がある。


初期の方が、栄養を効率良く吸収できるから、履きこんだ靴に施すメンテナンスよりも一層気合いを入れた栄養分注入を行う必要がある。



革の鞣しとは、網状層に水分・油分を注入した後に、膜層を作ることで、革を強化するプロセスだ。


革本来の力を発揮させるためのプロセスと言える。



しかし、タンナーにおける鞣しでは、水分・油分の補給が十分でなく、革本来の力を100%出せていない。


こういったタンナーによる鞣しの不十分性を補うため、例えば靴の完成時に革本来の力が50%出ているとすれば、ユーザーの手でこれを100%にしてやる必要がある。(再鞣しのプロセス)



なお、賃金高騰等の要因によって、タンナーにおける鞣しは年々甘くなっており(タンナーによる鞣しの不十分性は高まっており)それに伴って、再鞣しのプロセスの重要性も年々高まっている。


つまり、靴完成後の消費者の技術への依存度が高まり、全く同レベルの個体でも全く異なるエイジングとなる。


人間社会と同じく、靴の間にも格差が広がる時代になったのです。





● プレメンテナンスの具体的な内容



これは、前節の『● 網状層メンテナンスの具体的な内容』と同じである。


すなわち、革の種類・状態を個別具体的に見極め、適切にオイルと保湿剤を調合し、観察・実践を繰り返すというプロセスになる。


プレメンテンスにおいても、膜層プレメンテンスと網状層プレメンテナンスがあり、日本において広く行われているプレメンテナンスは膜層プレメンテナンスに該当する。


例えば、乳化性クリームを事前に塗布する事も、膜層プレメンテナンスの範疇にある。


膜層プレメンテナンスであれば、タンナーによる鞣しの不十分性を補うことはできない。





● 網状層メンテナンスと網状層プレメンテナンスの重要性比重



履きこみ後の網状層メンテナンス、履き下ろし前の網状層プレメンテナンス、共に革靴を三位一体的に長く履いていく(ドレス・タフネス・コンフォートの目的を果たしながら、愛用していく)ためには欠かせない。


だが、前述の影響の非対称性故に、網状層プレメンテナンスの方が、圧倒的に重要である。


あくまでも感覚的な議論になるが、網状層メンテナンスと網状層プレメンテナンスの重要性比率は3:7程度である。


5歳までの教育が、その後70年以上の人生すべてを決定するとも言われるが、同様のことが革靴に対しても言えるのである。



また、革靴の色彩変化(※)は、網状層内部の水分が抜けること、網状層内部にある油脂と紫外線が反応することで起こるが、事前に良質な油脂を網状層の奥まで浸透させておく必要がある。

(※)実は、黒い靴でも履きこめばしっかりと色彩変化が起こる。しかし、多くの者は色が付いた乳化性クリームを使ってケアするため、この色彩変化は実感できない。



この色彩変化目的での油脂注入ができるのは、繊維が均一で不純物のない初期状態においてのみであるため、この点でも網状層プレメンテナンスの方が圧倒的に重要である。


つまり、十分かつ適切な網状層プレメンテナンスを施すことは、強さだけでなく、後の美しい色彩変化にも繋がる。





有形価値愛好家のために。



網状層メンテナンスは、第一にタフネス・コンフォートを深く追求するものだ。


つまり、革靴の機能を、装飾品としての機能と道具としての機能の2つに分類した時の、道具としての機能に焦点を当てている。


もちろん、長期的に見れば、タフネス・コンフォートを維持することが、綺麗なエイジングを可能にし、いずれは装飾品としての機能を高める事に繋がる。


その結果、膜層メンテナンスしか施して来なかった靴とは、全く別の美を持つ事になる。


しかしそれでもやはり、メイクアップ化粧の膜層メンテナンスとは一線を画し、短期的な美ではなく、品質の維持向上に焦点がある。


この点では、無形価値愛好家ではなく、圧倒的品質を求める有形価値愛好家(それもかなり高度な有形価値愛好家)に向けたものと言えよう。


網状層メンテナンスとは、有形価値創造行為なのである。





● 網状層メンテナンスの定着を阻むもの



新コラム『有形価値愛好家がマクロ創造する東欧世界から』において、日本の靴界においては無形価値愛好家が増え続けている事を指摘した。


これは、前々節の最後で述べた理想(網状層メンテナンス専門の店舗や職人が誕生すること)、網状層メンテナンスの定着を阻む。



網状層メンテナンスというのは、その習得に莫大な時間的経済的コストが掛かる。


10年以上かけて何百という革靴でトライ&エラーを繰り返してようやく身につくものである。


しかも、失敗した時には、靴が再起不能になるリスクもあり、一般消費者が挑戦するのは難しい。


また、網状層メンテナンスを習得したものがいたとしても、それが事業として成立できるか否かという問題が残る。


前述の通り、網状層メンテナンスは、膜層メンテナンスが持つ華々しさに欠け、高額になることが予想されるために、真の有形価値愛好家以外を惹きつけるのが難しい。



つまり、網状層メンテナンスは、有形価値愛好家で溢れる東欧のコアな世界だからこそ、生まれ、事業としても成立するものである。


日本に有形価値愛好家が増え、網状層メンテナンスへの需要が増えれば、網状層メンテナンスの職人を志す者も現れるかもしれない。


しかし、現状は、これと真逆の流れにある。





● 網状層メンテナンスの定着が難しい日本の靴界にいる有形価値愛好家のために、私がすべきことは何か。



前述の通り、網状層メンテナンスも網状層プレメンテナンスも共に重要ではあるが、影響の非対称性故に後者の方が圧倒的に重要になる。


そのため、せめて網状層プレメンテナンスだけでも実施してくれる店舗が日本にも欲しい。


しかし、その登場までには、まだまだ時間が掛かると思われ、困難も数多くある。



そこで、私が網状層プレメンテナンスを施した作品をお譲りした上で、簡易的な網状層プレメンテナンスの方法論をお伝えすれば、有形価値愛好家の皆様にとって価値ある活動になるのではないかと考えた。


こういった考えから、前回はプレメンテナンスを施したコレクションを出品したのです。


それにはかなりの反響があり、プレメンテナンスを施した作品をもっと出品して頂けないかというお言葉も沢山頂いた。


本当に光栄な事であり、心から感謝しております。





初期/旧ディンケラッカーの有形価値創造力。



● "渦" への挑戦。



新コラム『真の有形価値愛好家がマクロ創造する東欧世界から』の後半では、東欧のコアな世界を紹介した。


そこでは、ほんの細かな調度品から建築まで、全てが代々受け継がれるものであり、人々はそういった製品の品質に魅せられる。


それを見て、有形価値とは何かを見極める審美眼を養っていくのだ。


しかも、過密した日本の都市のように、人々が過剰に承認欲求に飢えることもなく、営利企業が人々の承認欲求を煽ることもない。


そのために多くの者が有形価値愛好家で在り続け、子供が宝物を愛でるように、ものの本質(有形価値)を愛している。



こんな世界で在れば、網状層メンテナンスのような有形価値を追求した手法が生まれる事も容易に理解して頂けるだろう。


この世界では、一時的な美や不毛な競争に勝利することではなく、いつも本質だけが求められるのだ。


新コラムでは、こういった東欧靴界の有形価値愛好家の "愛"に、工房がまた "愛" で応え、そうやって生まれた靴を見て、有形価値愛好家がまた "愛" を深めることを述べた。


東欧靴界には、愛の "渦" があるのだ。




ディンケラッカーは東欧の3大工房の一角として認知されているが、東欧靴界のなかでは最後発の高級靴ブランドである。


工房自体は古くからあったものの、ブランド自体の歴史は20年程しかない。


言うまでもなく東欧にはエドワードマイヤーを先頭に、その他圧倒的な有形価値創造力で高級靴を作り上げる工房が数々存在していた。


そこに新ブランドを設立するとなると、如何にして立ち向かうのか、東欧の靴好きや職人、有形価値愛好家達から注目されたものです。


既に存在する強い ”渦” に如何に入っていくのか、と注目されたのです。





● 新たな "渦" の創造。



結論から言えば、ディンケラッカーのこういった "渦" への挑戦は、われわれの期待を裏切った。


旧ディンケラッカーにあたるアポロでは、新ブランド設立に向けて、ルーマニアやポーランドの田舎でハンドソーンの軍用靴生産を行っていた職人達をハイラインに集結させた。


彼らは、作品に有りっ丈の情熱、念を込めた。


世界最高の技術を持った職人達による、強い "渦" に入っていくんだという強い念。


そして生まれたのが、いわゆる旧ディンケラッカーの後期アポロである。


この傑作で一気に東欧のコアな靴好きの注目を集め、そこに新ブランドの第一期コレクションをぶつけてきた。



軍用靴を源流とする後期アポロ、初期ディンケラッカーは、三位一体の靴哲学を見事なまでに具現化している。


今でこそ、『靴のロールスロイス』という "記号" だけが浮遊し現在は無形価値愛好家さえも寄せ付ける品となったが、当時のディンケラッカー(後期アポロ)は、自社の靴を一貫してコンフォートシューズだと言いつつづけた。


英国勢のように、それがラグジュアリー品で、高級靴だとは言わなかったのだ。


作り手側ではなく、これらの作品を見た有形価値愛好家達が『靴のロールスロイス』と喩え始めたのである。


軍用靴の設計思想を汲むタフネス・コンフォートシューズを見事に高級靴へと昇華させた結果である。



ディンケラッカーが唱えた『コンフォート』は、単に履き心地の良さを意味しなかった。


例えばそれは砂利道を歩いても快適である事を意味し、路面の状況や天候が一切気にならないという意味での快適性を指して、コンフォートシューズだと断言した。


万能であること、それが生む精神的な快適性をも含めて『コンフォート』だったのである。


この軍用靴の高級靴昇華の秀逸さは、プラダがチャーチを買収し無形価値志向へと舵を切り始めた英国靴との対比で一層特異なものとなり、西欧で絶望していた有形価値愛好家達をも見事に虜にした。


西欧まで広がる大きな "渦" を新たに作るという形で、われわれ東欧の有形価値愛好家が予想もしなかった結果を残したのである。


実にポジティブな意味で、われわれは期待を裏切られたのです。



そして今では、『コンフォート』の文言が、無形価値財に依存する英国靴に対する、東欧からの問題定義だったとも言われている。


つまり、『英国靴のように、われわれの靴はわざわざ高級靴だと謳って無形価値で勝負する必要がない』という宣言でもあったのだ。


それほどまでに、後期アポロ・初期ディンケラッカーには、有形価値財としての圧倒的な力があった。



欧州の靴界に精通している者であれば、東西問わずコアな靴好き達が、後期アポロや初期ディンケラッカーを重点的にコレクトしているのを目の当たりにしているだろう。


彼らがここまで熱中するのは、有形価値でもって東欧靴界の "渦" に挑み、西欧まで広がる巨大な有形価値の "渦" を作った作品だからなのです。





そしていま、われわれで新しい "渦" を創造する。



網状層プレメンテナンスという真の有形価値創造手法は、日本では真新しいものであり、その提唱はイノベーションの始まりとなり得る。


私のこの提唱は、いまは実に小さな小さな力しかない。


だが、いつだって本当に良いもの、本当に良い知識、本当に良い技術は、極ミクロなところから始まるのだ。


ミクロな点に、真を見抜く力を持った者がアーリーアダプターとして付き、そこから広がっていくものだ。


最初から騒がれるものは、打ち上げ花火のように派手だが、たいていはそのあとに空虚がある。



私はいま、日本の靴界に、本当に極小だが、しかしきっと大きくなる新しい "渦" を創造しようとしている。


網状層プレメンテナンスの提唱と、それを施したコレクションの提示によって。



この新たな渦の始まりとして、相応しい靴は何か。


つまり、網状層プレメンテナンスを施したコレクションとして、靴部屋からセレクトすべきものは何か。


そう考えた時、真っ先に浮かんだのが、東欧から西欧へと "渦" を創造した旧ディンケラッカー(後期アポロ)と初期ディンケラッカーだった。



網状層プレメンテナンスとは、有形価値創造行為だ。


このコレクションには、有形価値愛好家、有形価値創造者として私が培った技術、そして強い "愛" を込めた。



ディンケラッカーの工房に集結した有形価値創造者達が、強い "念" を込めたように。


私と彼らによって、小さな、しかし強い "渦" がここに発生した。



真を見抜く力を持った、日本の有形価値愛好家の皆様にそれをおくりたい。


われわれで、新しい "渦" を創造するのだ。









■ サイズ



表記 7.5


日本で手に入るラストでしたら、UK6.5相当からUK8相当まではほぼ所有しております。


ですので、普段お履きの靴のサイズを質問よりご教示いただければ、可能な限りアドバイスいたします。





■ コンディション



着用回数2回の極美品。


当然、特筆すべきダメージは御座いません。


網状層メンテナンスを施し、ソールにも同様の処理を行って強度を上げています。





■ 中古靴を長く履くために



中古靴も、新品の靴をおろした時と同じく、週に2回20分程度の履き慣らしを2か月から3か月、もし可能であれば4か月ほど行ってから、本格的に履いて頂くのがベストであると思われます。


これによって、これから履ける期間が格段に長くなります。


これは、私の出品靴に関わらず、すべての中古靴を買った際にも活きる方法と思いますので、参考にして頂ければと思います。




■ 他のアカウントに関しまして



海外・日本からオークションページにアクセスする関係で、頻繁にセキュリティ問題に引っ掛かります。


そのたびにロックがかかるため、アカウントを複数用意しています。


復活できないと思っていたものが復活したことによって、かなりアカウントが増える事態となりました。


混乱を招いてしまい、大変申し訳ございません。


現在はローテーションして、すべてのアカウントで満遍なく出品を行っています。


機能しているものは、下記のものになりますので、フォローしていただけますと幸いです。


【necocatauc】【hh333yh】【pmpmyj】【c7ver00】





■ ご注意事項



・革製品ですので、文章や画像で表現しきれない皺、傷やざらつき等はあります。しかしながら、致命的なダメージは絶対に記載致しますのでご安心頂ければと存じます。


・出品にあたっては目視での検品の他、30分から60分のテスト歩行を行います。『致命的なダメージ』とは、このテスト歩行で発見できるものを指します。


・私の靴に限らず、古靴で接着層がある場合、経年で接着剤の力が弱くなっているケースがあります。


・黒以外の靴ですと、ご覧になる環境で色の表現が微妙に異なる点をご了承ください。


・どんな些細な事でも気になること(特に状態とサイズ、色につきまして)はご質問下さい。誠心誠意対応いたします。


・特段の記載がなければ、靴本体以外の付属品はありません。付属品がある場合は記載いたします。


・ご質問者様、ご入札者様、すべて靴を通じて知り合った大切な友人でもあると考えております。そのため、人的な対応を心がけています。しかし、若い方はお忙しいかと存じますので、お気になさらずに宜しくお願いいたします。





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